正しさより、楽しさを選ぶということ―大河ドラマ『べらぼう』を見終えて―

大河ドラマ

大河ドラマ『べらぼう』を見終えて考えた仕事と人生

大河ドラマ『べらぼう』を、最後まで見終えた。

見始めた頃は、出版や文化をテーマにした、少し変わった大河だなという印象だった。

けれど見終わった今、強く心に残っているのは

「人はどう生きたいのか」「仕事をどう面白くするのか」

そんな、驚くほど現代的な問いだった。


筆より重いものは持たない主人公・蔦屋重三郎

この物語の主人公・蔦屋重三郎(蔦重)は、剣で闘う英雄ではない。

彼が持つのは、筆と、人を巻き込む力だ。

「筆より重いものは持たない」

この言葉は、蔦重の生き方そのものだったように思う。

正義感が強く、理想もある。

けれど不器用で、空回りして、失敗も多い。

誰かを救おうとして、別の誰かを傷つけてしまうこともある。

完璧な主人公ではないからこそ、

蔦重の迷いや葛藤が、どこか自分自身と重なって見えた。


正しさと楽しさ、そのあいだで揺れる物語

『べらぼう』を通して、何度も描かれていたのは

「正しさ」と「楽しさ」の対立だったように思う。

正しいことを押し付ければ、人は従うか、反発する。

行き過ぎた統制は、やがて反抗を生む。

作中で語られた

人は「正しく生きたい」のではなく、「楽しく生きたい」

という言葉は、とても静かで、それでいて強く心に刺さった。

仕事でも、組織でも、家庭でも、

正しさだけでは人は動かない。

楽しさや納得感があって、初めて人は前に進む。

蔦重は、そのことを何度も失敗しながら学んでいった。


人を巻き込むということ、仲間と作るということ

この作品で特に心を動かされたのは、

蔦重が一人で何かを成し遂げるのではなく、

仲間と一緒に作品を作っていく姿だった。

歌麿との関係。

少しずつ生まれるすれ違い。

蔦重の言葉や行動が、相手の心を遠ざけてしまう場面もあった。

「もう少し、相手の気持ちを考えてくれたらいいのに」

そう思わされるシーンも多かった。

それでも、人は人によって救われる。

絶望の淵にいた誰袖(たがそで)花魁が、笑顔を見せた瞬間。

仲間たちが力を合わせる場面。

思わず、涙が出そうになった。

完璧じゃなくてもいい。

ぶつかりながらでも、誰かと一緒に作るからこそ、生まれるものがある。


静かなのに、心拍数が上がる終盤の緊張感

物語終盤では、策略と沈黙が支配する緊張感が描かれる。

毒まんじゅうの場面。

どこに毒が入っているのか。

誰がそれを口にするのか。

派手な演出はないのに、

静かなのに、心拍数が上がる。

言葉や沈黙の重さ、

人の思惑が交錯する怖さが、ひしひしと伝わってきた。


正しく生きるだけでなく、楽しく生きるために

『べらぼう』を見終えて、強く感じたことがある。

正しく生きることは大切だ。

でも、楽しく生きることも、同じくらい大切だ。

仕事を面白くする工夫。

人を信じること。

正直なことを言ってくれる相手を大切にすること。

蔦重は、何度も失敗しながら、

それでも前に進み続けた。

この物語は、

「正解」を教えてくれる作品ではない。

けれど、どう生きたいかを考えるきっかけを、確かに残してくれた。


おわりに

大河ドラマ『べらぼう』は、

歴史の物語でありながら、

今を生きる自分と重なる部分のある話だった。

正しさに疲れたとき。

人との関係に悩んだとき。

仕事が面白くなくなったとき。

またこの作品を思い出す気がする。

筆で闘い、人を巻き込み、

楽しさを信じた蔦重の姿は、

きっとこれからも、心のどこかに残り続ける。

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